6年生の教科書です。
現行の教科書では,「比とその利用」の後に「表を使って考えよう」という教材が用意されています。
そして,その後に,これまでの復習をする問題のページが2ページ,用意されています。

まず,「表を使って考えよう」です。
教科書としては,2時間扱いとなっています。
しかし,この教材,本当に必要でしょうか。

内容は,表を使って考えるとわかりやすいですよー,のようなものです。そこに,数学的な知識や技能はもちろん,思考もあまり必要ありません。なぜなら,これまでの学習で,この教材で学ぶ内容はもう済んでいるからです。単に,時間数の調整にしか見えません。

同じ表を使って考えるのであれば,鶴亀算などなら新しく学ぶ要素があり有用だと思います。そうではなくて,単にこれまで学習を活用するものとして用意されているのであれば,意義はそれほどありません。
むしろ,子どもたちの思考を混乱させ,算数嫌いを増やす効果しかないのです。

そして,次のこれまでの復習です。
教科書的には,ちょうど半分になるのでしょう。
ですから,これまで学習した内容を復習する形になっています。

ところが,復習するのには,ある条件が必要です。
それは,学んだことを忘れる前に復習するという条件です。
すっかり忘れてしまっては,復習しても意味がないのです。
なぜなら,新たに覚え直さなければならないからです。

半年分を一気に復習するというのは,あまりにも無謀です。
復習の仕方としては,忘れる直前に学習するのがいいのです。
そうであれば,それぞれ学習してから,復習の時期はバラバラになるはずです。

それを半年に一度というのは,忘れている子どもの自信や意欲を低下させます。
つまり,算数嫌いの子どもを増やす効果しかないのです。

以上のことを知っているベテラン教師は,これらの教材を真剣に取り扱うことはしないでしょう。
しかし,元来教師は真面目です。また,経験年数が少ない場合も,真面目に教科書通りやろうとします。それが悪いことではなく,教科書の編纂の仕方に問題があるのです。

教科書は,どうすれば子どもの意欲が低下しないか,一度学んだことをきちんと定着させるか,子どもたちに興味のある算数的文化を提示できるか,など配慮して欲しいものです。

とにかく現状では,現場の先生たちに声を大にしていいたいと思います。
「教科書が全てではない」
「教科書は,全て指導する必要はない」
「教科書が正しいと信じてはいけない」

ぜひ,一人一人の先生で,算数とはどうあるべきか,どんな力をどのように身につけさせるのか,ということを真摯に考えて欲しいと思います。 また,教科書会社の人は,大学の現場を知らない研究者の声ばかり取り上げるのではなく,上のような現場の声をきちんと聞いて,反映して欲しいものです。

  
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