「教育実践を語る」服部英雄のブログ

授業のこと,学級経営のこと,家庭教育のことなど,教育全般にかかわることについて,これまでの経験や研究をもとに語っていきたいと思います。

教材分析

6年生国語「大切な人と深くつながるために」教材分析

これも新しい教材です。
筆者は、 鴻上尚史氏です。

まずは、題名分析からです。
「大切な人」とは誰でしょうか。親友、恋人、家族などが考えられます。小学校6年生ですから、親友や家族でしょうね。

「深くつながる」とは、浅く繋がることではないことがわかります。浅く繋がるのではないということは、より親密になるということ、絆を結ぶことなどが考えられます。

そして、「ために」とあることから、大切な人とつながることが目的で、そうなるための方法が書かれていることが予想されます。 

次に、形式段落のまとめです。全部で7段落あります。

1 誰かとぶつかるときに、コミュニケーションが必要となる
2 コミュニケーションが得意とは、衝突したときになんとか追っていける能力があるということ
3 お互い少し不満だけど何とかやっていけるというのがコミュニケーションが得意ということ
4 コミュニケーションの技術が上達すれば、大切な人とつながることができる
5 何度もぶつかり合うことがコミュニケーション上達につながる
6 昔と違ってコミュニケーションが苦手になって来ている
7 コミュニケーションを上達させ、大切な人と深くつながろうという呼びかけ

以上のことから、要旨をまとめます。
「コミュニケーションが得意ということとそうなるための方法」 

次に、レトリック分析です。前回と同じように構成のレトリックからです。
この作品の構造ですが、「はじめー中ーおわり」という構造ではないように読み取れます。

まず、最初の話題提示が、1段落です。それを受けて、2・3・4でコミュニケーションが得意ということや上達することについて説明されています。

そして、5段落で転じて、コミュニケーションが得意になるための方法が説明されています。最後に6段落では現代のコミュニケーションの問題点を挙げ、7段落で提言をしています。

この構成は、「起・承・転・結」だと言えます。といっても、それにきちんと当てはまるとも言いづらい構成です。というのは、論が問いかけて答え、また問いかけて答えというように論点が次々と変転していくからです。

意味のレトリックでは、コミュニケーションの練習をスポーツの練習にたとえているのが大きなレトリックと言えるでしょう。あとは、問いかけや呼びかけなど読者を惹きつけるレトリックが多用されています。

人と衝突することをうまくやっていくことがコミュニケーションには大切である。そのように上達するには、直接的な人との衝突を経験しなければならない。というのが、この作品の主張なのです。そして、それを伝えるために音声言語的にまとめたのがこの作品であると言えるでしょう。

 
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6年生国語「メディアと人間社会」教材分析

新しい教材です。
筆者は、池上彰氏です。

まずは、題名分析です。
「メディアと人間社会」という題名ですが、陳腐な感を否めません。
メディアや、情報化社会という言葉が一般化されたのは、今から30年以上前です。
ですから、古い、陳腐という感じがするのでしょう。

つまり、この「メディアと人間社会」という問題設定自体が、古臭いのです。
もっといい題名がなかったのかと思います。というのも、今の情報化と、30年前の情報化は異なっているはずだからです。その間には、高度情報化という言葉も一般化していました。

今の時代に合う言葉としては、ネット社会とか、ネットワークによる情報伝達とかではないでしょうか。もちろん、SNSなども現代的です。

次に、各段落の要点です。それらは、次のようにまとめることができます。

1 情報伝達の欲求からメディアによる情報化社会を作ってきた
2 古くは、文字を使って情報を伝達してきた
3 電波による情報伝達は、早さと共に社会的影響を与えてきた
4 映像による情報伝達は、その情報量の多さから社会に対する影響もより大きくなった
5 インターネットで情報の発信が可能となったが、中には社会を混乱させる情報もある
6 人間の欲求を意識してメディアとつきあうことの大切さ

これらをまとめて要旨を考えます。メディアの歴史と人間社会の関係、そこからこれからのメディアとの付き合い方が意見されています。もっと短くまとめると、「人間の情報伝達の欲求とメディアの関係」となります。

そして、レトリック分析です。
構造のレトリックから考えてみます。

1段落で話題提示をして、2から5段落でその話題についての説明をしています。そして、6段落でまとめて自分の考えを述べています。ですから、1段落が「はじめ」、2から5段落が「中」、6段落が「おわり」となります。

典型的な「はじめー中ーおわり」の構成です。
そして、「中」では、歴史的な順序に合わせて説明を展開しています。これは「順序立てて」説明していることになります。

また、「中」の説明の仕方は、段落の最初に「文字」「ラジオ」「映像」「インターネット」ということを紹介して、それを説明していくという方法をとっています。ですから、最初の一文を読めば、何のことについて説明しようとしているかがわかります。

次に、意味のレトリックの分析なのですが、あまりありません。強調の文末表現や接続詞の工夫ぐらいです。比喩や反復、対比などはほとんどありません。ということは、自分の考えをできるだけストレートに伝えようとしていることがわかります。

以上が、この教材の分析となります。  

 
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国語科3学期教材に向けて

今年度、教科書が改定されました。
これまでと変わらない教材もありますが、新しくなった教材もあります。

中でも残念なのは、5年生の教材から「わらぐつの中の神様」がなくなったことです。
この教材、光村だけでなく全ての教科書教材の中で一番だと思っていたからです。

さて、新しい教科書では、3学期教材の最初は、「詩」となっています。
詩を読んだり作ったりする学習から入ります。そして、小単元をいくつかはさんでから、説明的文章に取り組むようになっています。

ただし、1年生は例外です。最初の読み物は、「たぬきの糸車」です。その後、「どうぶつの赤ちゃん」となっています。

2年生は、「おにごっこ」です。そして、3年生は「ありの行列」。4年生は「うなぎのなぞを追って」というように、例年通りです。

5年生は「想像力のスイッチを入れる」で、これも従来通りの教材です。
以上の教材については、これまでのブログで、教材分析や単元構想を紹介しているので、そちらをご覧ください。

6年生だけが新教材となっています。池上彰さんと 鴻上尚史さんの短い意見文が教材となっていて、筆者の主張やそれを伝えるための事例の挙げ方や説明の仕方を学習するようになっています。そして、単元の出口としては、それらの意見に子どもたちがどんな考えをもって、それを伝えるかということが用意してあります。

つまり、2篇の意見文を元に自分の意見を作り、主張するという単元構想なのです。

これらの教材の分析の仕方を簡単に紹介します。

まず、題名を分析します。
なぜ、この題名なのか、他の題名ではだめなのかという検討をします。

次に、各段落の要点をまとめます。できるだけ短い文や言葉でまとめます。
そして、そこから要旨をまとめます。この要旨が、筆者の首長であると言えるでしょう。

その後には、各段落の叙述を検討していきます。
レトリックや修飾、文末表現や指示語。さらにはつなぎ言葉などを検討し、要旨を表現するのに適切かどうかを検討していくのです。

特に、レトリックや修飾語、文末表現には、筆者の心情や意図が含まれていることが多いので、それらを検討することが教材分析の中心となります。

最後に、説明の構造について分析します。事例列挙型なのか、問いかけ応答型なのか、連続型なのかを検討します。

以上の分析は、分析したこと全てを指導するものではありません。
子どもたちが、どんな読みをしても受容できるように、用意するためのものです。

次回以降のブログで、二つの教材を分析した内容を紹介したいと思います。
 
 
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6年生国語「帰り道」教材分析3

昨日の続きです。教材分析は,人物分析やレトリック分析まで行いました。
以下がそれです。なお文体は,昨日と同様に常体で書いています。

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 5 人物分析

(1)律

①周也をどう見ているか
「くつしたにぽっかり空いた穴から,ヤンチャそうな親指をのぞかせた」
「小四から同じクラス…よくいっしょに登下校していた」
「周也の話があちこち飛ぶ」
「急にいらついた目でぼくをにらんだ」
「どっちも好きってのは,どっちも好きじゃないのと,いっしょじゃないの」
「ぼくより半年早く生まれた周也は,これからもずっと,どんなこともテンポよく乗りこえて,ぐんぐん前へ進んでいくんだろう」
「周也の気どった前がみが」
「まじまじとぼくの顔を見つめ,」

やんちゃで,活発で,思ったことをスラスラ言えると思っている。

②自分をどう見ているか
「ぼくだけがあのことを引きずっているみたい」
「先のとがったするどいものが,みぞおちの辺りにずきっとささった」
「そのまま今もささり続けて」 「思っていることがなんで言えないんだろう」
「考えるほどに,みぞおちの辺りが重くなる」 「もうだめだ。追いつけない」
「勇気をふりしぼって」

繊細で,内気。思っていることがうまく言えない,そして,周也には追いつけないと思っているが,わかってもらえるという勇気も持っている。

(2)周也

①律をどう思っているか
「やっぱり,律はおこってるんだ」
「だまりこくっている律」
「律のほうは,…いつだってマイペースなものだったけど」
「ぼくにはない落ち着きっぷり」

マイペースで落ち着きがあるが,感情をあまり出さないが,この日の怒りは理解できる。

②自分をどう見ているか
「まずいと思うも,もうおそい」
「よけいなことばかりしゃべっている自分」
「それじゃピンポンの壁うちといっしょ」
「ぼくの言葉は軽すぎる…むだに打ちすぎる」
「ぼくはこの静けさが大の苦手だった」
「だれかといるときのちんもくが苦手だ」

軽口を叩きがちで,よけいなことも喋りがちだが,それは沈黙が苦手だからと自分を理解している。

互いに自分のことも相手のこともよく理解していると言える。その意味からは,喧嘩をしていても心が通い合っている。ただ互いのことがわかっていても,心がすれ違うこともあり,それを解決するには何か出来事が必要だとも言える。


6 レトリック分析

(1)意味のレトリック
「いつものこと」体言止め
「ぽんぽん」オノマトペ
「ごにょごにょ」オノマトペ
「先のとがったものが…ずきっとささった」暗喩
「歩いても,歩いても,ふり落とせない」暗喩
「ぐんぐん前へ進んでいく」暗喩
「ため息が,足元のかげにとけていく」暗喩
「すぐに立ち止まっちゃうだろう」暗喩
「シャワーの水が降ってきた」暗喩
「笑いの大波が」暗喩
「まぶしさに背中をおされるように」直喩
「まじまじ」オノマトペ
「こっくり」オノマトペ
「うんともすんとも」オノマトペ
「じりじりして」オノマトペ
「重くひびいてしまった」暗喩
「ペラペラと」オノマトペ
「足音だけ」体言止め
「相手の言葉を受け止めて」暗喩
「ピンポン」暗喩
「ぽんぽん」オノマトペ
「いい球を投げられたなら」暗喩
「通り道」体言止め
「ピンポン球を乱打」暗喩
「マイペースなものだったけど」体言止め
「おっとりと」オノマトペ

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まだ,意味のレトリックはあります。そして,その次は,構成のレトリックです。
まだまだ教材分析は続きます。


 
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6年生国語「帰り道」教材分析2

今回は,概略ではなく,いつもの方法で分析したものを紹介したいと思います。
なお,分析した文章は,敬体ではなく常体で書いたものです。

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 1 題名分析

 「帰り道」というのは,特別な意味を持つとは考えにくい。ありふれた日常のありふれた出来事と言えるだろう。ただ,学校生活を送っている登場人物にとっては,1日の学校生活を終えた後の出来事として,意味を持つ。
 ということは,誰にとってもありふれた出来事の中で,何か特別なことが起こることを暗示し,日常の中の非日常を予見させる題名と言える。
 また,「帰り道」という題名からは,誰の帰り道か,一般的な帰り道なのかということが明示されていない。それが,より「帰り道」を身近なものとして捉えることを促すと考えられる。つまり,読者自身にも「帰り道」がある,あるいはあったという感覚を与える効果があるだろう。


2 出来事分け

 作品自体が,大きく二つの場面から成っている。それぞれ同じ出来事を,視点を変えて描いてある。ここでは,二人の登場人物を客体化し,出来事を整理してみる。

・玄関口で,周也と律は出会い,一緒に帰る
・昼休みに,周也が律にツッコミを入れて,二人が険悪になる。
・二人黙って市立公園内の緑のトンネルを抜けたところで天気雨に出会う。
・雨の中でじたばたして,笑いあった。
・昼の会話の続きで,率が「晴も雨も両方好きだ」ということを周也に言う。
・再び一緒に帰る。


3 主題

(1)取材
周也と律の下校中の会話や思い

(2)主想 二人の仲直り


4 視点
 視点が特徴的な作品である。同じ出来事を別の人物の視点で描くという特殊な形態で,1場面を律の視点で,2場面を周也の視点で,それぞれ描かれている。
 それぞれの場面では,一人称の限定視点であるが,両方の場面を一つとして見たときに,全視点の作品と言える。
 この仕組みが,両者のすれ違いと心の通い合いを描くのに,ある程度効果があると言える。それぞれを別の物語として読むことも,両方を関係的に読むという読み方もできるからであり,それらを総合することですれ違いと心の通い合いという両極の心情を繋ぐからである。
 ある意味,現代的な視点の作品と言えるかもしれないが,それが文学的な価値を伴っているかというと,やや疑問である。

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分析は,まだ続きます。それは,明日以降のブログで紹介したいと思います。


 
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