教育実践研究所「EduPrac」服部英雄のブログ

授業研究、生徒指導、学級経営、子育てなど教育実践全般についてのブログです。

英語学習

小学校英語教育

新学習指導要領完全実施を受けて,英語教育が本格的に始まりました。
中学年で週一時間,高学年で週2時間が,カリキュラムに組まれています。
高学年からは文字も導入されていますが,基本は英会話です。

しかし,どうなんでしょう。 
どうも納得いかないことが少なくありません。

週2時間に増えたからと言って,また,ネイティヴをALTに採用するからと言って,本当に子どもたちは英語を学習して,英語の力を身につけることができるのでしょうか。

例えば,発音です。
英語には,よく知られているように,日本語にない音があります。
thや,Lやf・vの発音です。

これらの音が,耳から入って理解でき,それを表現できるには,脳の臨界期との関係で,小学校の低学年までです。個人差はあるものの8歳から10歳までなのです。わかりやすく言うと,thやL,f・vなどの発音を耳で聴いて発音するのには,8歳ぐらいができるできないの境目になるのです。

高学年になると,もう聞き取ったり自分で表現したりすることが,耳からの英語ではできなくなります。4年生ぐらいになると,無声音の聞き取りもできなくなるのです。

ですから,英語教育を考えるときに,脳科学の知見や最新の科学のファクトをもとにしなければならないのです。

印象的に,早期に学習するのがいいとか,これからはグローバルの時代になるとか,それを根拠に英語教育や英語学習をとらえると,間違った教育になってしまいます。

どうしても,教育界には,このような科学的根拠のない印象による実戦が少なくありません。仮に,科学的根拠が明確でなくても,たくさんの経験知から導き出せる理論もあると思います。

それらに蓋をして,印象だけで教育を進めるのは,大変危ういと思わざるを得ないのです。
 

 
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外国語活動

低学年ですが,今日,外国語活動の時間がありました。
新学習指導要領では,3年生から外国語活動,5年生から教科としての外国語が,新しく設けられています。5年生からは,週2時間の学習となります。3年生以上は,週1時間です。

来年度からの完全実施に向けて,昨年度と今年度は移行期間です。
高学年では,これまでの週1時間の外国語活動の時間に加えて,総合的な学習の時間を外国語に当てて,週2時間の学習をしてきました。中学年でも同様です。

本市では,今から10年以上前から,外国語を低学年にも組み込んで学習するようにしています。
低学年は,新学習指導要領にも示されていないのですが,市独自で取り組んでいます。
年間10時間程度です。

子どもたちは,意欲的に学習に取り組みます。
今日の学習は,アルファベットについてでした。
ゲームを通して,楽しくアルファベットに親しんでいきました。

さて,新学習指導要領の外国語活動や外国語ですが,どうなんでしょう。
もう決定していることなので,とやかく言う余地もないかと思いますが,本当に小学生に英語が必要なのかと疑問に思ってしまいます。

週2時間にして,英語を読み書きしたり話したりできるようになるのでしょうか。
週2時間にすることで,他の教科を圧迫したり,子どもたちの学校生活を忙しくしたりしないのでしょうか。

どうも怪しいと,思ってしまいます。
と言うのも,英会話はいずれ,自動翻訳が高レベルに発達し,覚える必要がなくなると考えるからです。
今でも,自動翻訳の機器やスマホで,可能となっています。
東京オリンピックに向けて,こちらのITがどんどん発達しているのです。

例えば,スピーカーで,日本語で話せば,各種外国語に翻訳して大きな音で話してくれるものが既に開発され,空港や大きな球技場で使われています。

自動翻訳も数年前までは怪しいものでしたが,今現在でもかなり正確になっています。
IT機器の発達は凄いので,後数年もしないうちに,自動翻訳で会話が成立する時代になると思われます。

また,外国語を小学校から学ぶことで,何らかの脳の発達が期待できるのであれば,そこに学ばせる価値もあるかと思いますが,今のところそのような科学的なエビデンスはありません。

さらに,週2時間程度の学習で,一つの言語を習得できるのかと言う問題もあります。
もちろん,学習する内容にもよりますが,その程度の学習では,英語を流暢に話せるようにはならないように思います。

逆に二つ目の方の危惧が,顕著ではないでしょうか。
外国語が2時間になる,それに総合的な学習の時間を当てることはできない,モジュール化しても教科なので教師がきちんと指導しなければならない,結果的に,週29時間が30時間に増え,毎日6時間授業にならざるを得ないのです。

これが,子どもたちの学校生活を圧迫することは容易に考えられます。
高学年になれば,毎日6時間になるのです。
これは,なかなかの大変さが予測されます。

本当に,新学習指導要領が提唱しているような外国語活動が必要なのでしょうか。
今一度,全ての教師,研究者が検討しなければならないように思います。 

  

 
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「英語教育の危機」

鳥飼玖美子氏の著作です。
ちくま書房から出版されています。


 英語教育の危機 (ちくま新書)


氏は,これまでも英語教育の在り方について,色々提言されてきました。特に,文科省の提唱する英語教育については,様々な疑問を呈しておられました。

この疑問が,この著作には,顕著に記されています。

例えば,「英語の授業は英語でする」という,新学習指導要領の中学校編について,以前に高等学校で同様の提案がされ,現場に混乱をもたらしたことを例に詳述されています。また,小学校の中学年から「外国語活動」をし,高学年で教科英語になることについても,それぞれ問題点を明確に示されています。

これらの問題点について,新学習指導要領では明確に答えていません。
さらに,指導要領が展開されることで,子どもたちにどのようなことが起こるのかということについても検討されず,告示という形で示されています。

私個人の考えは,ほぼ鳥飼氏と同じです。
本当に,どのような外国活動や英語が,小学校の現場で必要なのかということについて,教育関係者だけでなく,広く国民で考えなければならないのではないでしょうか。

 
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オンライン英会話

今日の外国語活動は,オンライン英会話でした。
iPadを使って,オンラインで英語の学習をします。

子どもたち四人に1つのiPadを割り当て,それぞれで海外のネイティブと英語で会話します。
今日の学習内容は,「What do you want?」でした。

子どもたちは,オンラインの英語の先生から「何が欲しいですか?」と聞かれ,それに答えていきます。
ほとんどの子どもは意欲的に取り組みました。
途中,先生の英語がわからず,困惑しているような場面もありましたが,担任が説明することで解決できていました。

ただ,この学習はどうなんでしょう。
色々と考えてみたいことが生じてきました。

特に,子どもたちの学びという観点から,本当に子どもたちは英語を学べているのかということについて考えてみたいのです。

子どもたちにとってみれば,iPadを使う楽しさ,見知らぬ外国の人と接する興味のようなものはあると思います。しかし,どれだけ英語を学べているのかというのは,子どもの個人差もあるし,きちんと定着できるような指導を,オンラインの先生ができているかというと,疑問も残るのです。

子どもの学びの個性を考えると,担任が指導するのが一番だと思います。
ですから,オンライン英会話も,ネイティヴのALTも,担任が指導するのを手伝ってもらうような関わりがいいのではないかと思います。

ただ,そうするとやはり事前の打ち合わせが必要となります。
ただでさえ時間がなくなってきている昨今の学校現場で,このような打ち合わせの時間が取れるかという問題は残ります。

せっかくのオンライン英会話です。
きちんと子どもたちに学びを保証できるような内容にしていきたいものです。
  

 
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外国語活動2018

外国語活動という呼び名ですが,実際は英語学習です。
平成30年から,中学年で週一時間,高学年では週二時間,それぞれ学習することになります。
週一時間は,年間35時間です。週二時間は,その倍の70時間となります。

今年度は,移行期で,中学年が年間15時間,高学年が50時間の学習となっています。 

この英語学習ですが,担任が中心になって学習することを原則としているようです。
またまた教師の仕事が増えるのですが,この学習では,アシスタントの先生が一緒に参加してくれます。

このアシスタントですが,ネイティヴの先生になることもありますし,地域の人材で英語が得意な方を外部講師としてお願いすることもあります。

ところで,この外国語活動をどのように捉えて,何をどのように指導するのかというのは,しっかりと考えておかなければならないと思います。

単純にアクティビティだけをやるなら,英会話教室と変わりません。
あえて学校教育で英語を扱うのであれば,英会話教室との違いを明確にしないと不可能なのです。

また,A L Tの活動も,どのようにし組むかという事が重要となります。
基本的な位置付けは,「動く教材」です。

この仕組みをうまく活用しながら,子どもたちに英語の力がつくようにな指導しなければならないのです。
 
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